『線香花火』

『線香花火』

ね、見える？　見えてる？

きれいだね　きれいでしょ？

はかなく消える　線香花火

それは　あなたのように


去年の夏　線香花火をする私の隣には　あなたがいた


いまも　私の隣にいて　私を見てくれている・・・

「今日は早く寝なさいね、おやすみ」

いつも　いつのときも　ずっと　そばにいてくれる

あなたは　そんな存在になった



いまは　めそめそしない

あなたとの約束　しっかり守っていく

でも

夏が来ると　あなたとの思い出がよみがえる

手をつないで歩いた　お祭りの縁日　私は浴衣　ふたり　笑顔

一番　幸せだったとき・・・


ずっと　続くと思っていた

あのまま永遠に　笑っていられると思っていた




線香花火がきれいなのは　せつなく　はかなく　なごりおしいから

私の恋も忘れられず　色あせない

夏が来るたび　消えそうになった記憶に火が点（とも）る

これからもずっと




あなたが私の手を引いて　連れて行ってくれた　秘密の場所

それはまるで幻想的な夢のような場所　川のほとり　

天の星に負けないくらいに光り　乱舞する無数のホタルたち

感動で　その光が　私には　にじんで見えていたんだよ

暗闇の中　あなたの手を握り締めて

舞う光に　いつまでも　ワーって　ささやいてた

ありがとう　ありがとう　って　

何度もあなたに　感謝を伝えていたっけ

あのときの気持ちは　いまもおなじ・・・

あの場所に　もう行くことはない

目を閉じれば　線香花火と同じように　走馬燈のように

あのときの光のペイジェントは　私の宝物




線香花火が一番きれいに光るのは　燃え尽きる最後の瞬間



あなたが最後に残してくれた私へのメッセージ

「最後の約束は絶対守ってね

僕の変わりに　君を守ってあげられる人を探して

あせっちゃだめだよ

絶対君だけを愛してくれる人がいるはずだから

容姿とかだけで選んじゃだめだよ

ちゃんと君のことを考えてくれる人を

自分で選んで

感情だけで決めちゃだめだよ

本当に素敵な女の子だったよ

いつまでも見守ってますね

じゃ、さようなら　幸せになってね・・・」


あなたの来ないあしたをずっとずっと待ち続けている私

無念なのは　あなたのほうなのにネ

ごめんね　泣いてばかりいたね　あのとき




あなたが書き残してくれた日記に綴られた言葉たちを

これからも胸に刻み生きていく私


「泣かない」

「負けない」

「いつかきっと　会える」



線香花火の残り香（のこりが）の余韻が好き

夏の香りが好き

あなたの笑顔が好き



わすれないよ

だいじょぶだよ

生きていくよ

強いんだよ

私



思い出たちに感謝しなくちゃね

夏が来るたびに　

いっぱい　飛び出してくるんだもの

それはまるで

線香花火のま～るい光の球から放たれる小さな流れ星




見えていますか？

見えるでしょ？

立ち上がる煙と香りの中で

浮かび上がる私の微笑む顔




夏がまたやってきました



線香花火は好きですか？

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【BGM：煉獄庭園様の『僕は僕じゃない僕であって僕じゃない -2nd Edition-』】 

【POEM：DJ　K氏。　編集：にゃんこ。】
『花時』『春色のそよかぜ』に続く第３弾です☆ 

どうもありがとうございます。

でもところどころちょっと言葉をいじってしまいました( *´ﾉｪ`)ｺﾁｮｰﾘ